しくじり山行記1 ~家に帰るまでが山登りです~

これは、普段行き当たりばったりな旅をしているQCFiumが南アルプス甲斐駒ヶ岳でやらかしたしくじり登山の記録です

いつも適当な計画で限界旅をしているそこのあなた... 危険です !

 

計画時

 11月18日学校休みか !
 1日で甲斐駒ヶ岳の黒戸尾根登って降りたいな

 

 ほんほん、登り8時間下り7時間...
 1.2倍速でいけば往復12時間くらいだから3時くらいに出ればいけるかな

 

 遅れて降りれないとやばいから、もし時間足りなくなったら黒戸尾根とは逆側の、山頂から3時間で下れる北沢峠に降りよう

         (← 山の中のことはまぁまぁ考えている)

 

 北沢峠って標高2000 mもあるけど舗装道路繋がってるってことは町でもあるのか
 もう半分冬だから北沢峠からのバスは営業終了してるのね

 

 でも下界に降りればあとはなんとかなるだろ、ヨシ !
  (← 山の外のことは何も考えていない)

 

 

当日

早朝3:30に横手駒ヶ岳神社付近の登山口から甲斐駒ヶ岳に向け入山。
日の出前行動なのでそれはそれは寂しいものです

 

暗闇に吸い込まれてしまいそうな梯子が1つ

プチ道迷いを多発したものの、約2時間で黒戸尾根の他ルートと合流。
空も白み始め、他ルートからの登山者2名と出会い圧倒的安心感

日の出

奥に富士山

七合目小屋から先はやや雪が積もっていました
一応軽アイゼンは積んでいたものの結局頂上まで雪は薄く使わずじまい

2700 mを超えた辺りから息切れしやすくなったものの高山病にはならずに山頂到着

この時点で計画より大幅に遅れて12:00となっていたのでもう北沢峠に下山確定です。

とはいえ、体調に問題はないので計画のバックアップルート通り北沢峠に降りれば15時頃下山して何も問題ない山登りになるはずでした。

12:30に山頂を出発して下山開始

途中こんな壮大な谷が延々続く場所があります

 

下山中唯一出会った登山者であるお兄さんとお話し

 

https://3.bp.blogspot.com/-JexvR0mWETo/VaMN4vYqcTI/AAAAAAAAvfw/hn98h_oFyHw/s800/youngman_26.png

北沢峠に降りられるんですか ?

 

 はい

 

https://3.bp.blogspot.com/-JexvR0mWETo/VaMN4vYqcTI/AAAAAAAAvfw/hn98h_oFyHw/s800/youngman_26.png

 バス終わってるけど大丈夫ですか ?

 

 (バスがなければ歩けばいいんじゃないかな)
 大丈夫じゃないですかね

https://3.bp.blogspot.com/-JexvR0mWETo/VaMN4vYqcTI/AAAAAAAAvfw/hn98h_oFyHw/s800/youngman_26.png

 途中に小屋あるから泊めてもらった方がいいかもですよ ?

 

 (...え、バスがないのがそんなに問題かな)
 ありがとうございます

 

その後も下山を続ける中で、道中に妙に人気がないことに気づいていきます。

お兄さんが言っていたと思われる小屋の前に来ても、行きの七丈小屋とは打って変わって外には誰もいない。

このあたりでだんだん嫌な予感がしてきました。

(実は北沢峠って人里離れた何もない場所... ?)

とっさに携帯で調べようとしましたが、既にそこは圏外。山頂では繋がっていたはずなのに...

まぁ小屋で1泊してもバスがないのは変わらないので下ります。

駆け下って14:45に北沢峠到着、日没までは2時間。

果たしてそこは...

なーにが「北沢峠の原生林」じゃ💢

ここに来てようやく気づいたのです

 

  ここからどうやって帰ればいいんですか ?

 

 

 (いや落ち着くんだ、この林道じゃバスだってせいぜい時速30 kmくらいしか出さないはず。時速6 kmで歩けばバスの5倍の時間で着くぞ。バスで1時間なら5時間歩けば済む ! )

携帯は依然として圏外ですが、YamapとGoogle mapがそれぞれ周囲のマップを粗くキャッシュしてくれていたのでどうやらこの道をひたすら歩くと伊那の市街地に出られそうなことが分かりました。

というわけで...

>> 南アルプス林道歩き5時間追加 <<

 

ちょっと行くとちゃんと舗装道路になっています
が、家は無ければ人もおらず、およそ道路以外の人工物が全く見当たりません

 

道を歩いていると「歌宿」という看板が

 

 (素敵な名前の宿場町だなぁ)

 

 

 (うん、期待した僕が悪かった)

 

 

ひたすら歩いているのですが日没が近づいてまいります

早くしないと

ま、まずい

あぁ...

あーあ笑

 

この後真っ暗な道をヘッドランプ & 熊鈴 & 音楽つけながら2時間ほど歩きました。

ほ、ほしがきれいだったです

 

一般道まで出てからタクシーで伊那の駅まで運んでもらいました。林道はゲートで封鎖されていたのでタクシーは呼んでも入れなかったはずです

駅に着いたのはまだ20時半くらいですが、当日中の東京に辿り着くのは不可能だったので終電で甲府まで出て快活クラブ(限界旅行の味方)に1泊して翌日初電で帰還。

快活クラブがこれまた変な場所にあるので行きに甲府駅から1時間、翌日酒折駅まで30分歩きました。

 

以下はYamap記録の活動データ。どうしてこんなことに...

 

反省

日没までに一応の車道に降りられているので遭難とまではいかないが反省案件です

 

 - どうやって家に帰るかまで考えるべきだった

 - 「下界に降りればなんとかなる」は「命の危険はない」くらいの意味でのみ正しい

 - 標高2000 mに町があるわけがない

 

特に「なんとかなるか」の正常化バイアスは山中で/山中の行動の計画中に発揮すると遭難するので危険。思い出せば最近だんだん水分計算が雑になっているのを感じるので気を引き締めたいところです。

授業料はタクシー代8kと泊まり2kで10000円程

それからこの事件とは独立にこの山登りにはいくつか反省点が

 - 時間読みきつすぎ。ザック背負ってるときはYamapのコースタイムそのままでちょうどいい。特に日の出前 / 2700 m以上はx1.2とかしてもいいレベル

 - 安易に大幅な日の出前行動をしない方がいい。当然真っ暗なので道迷いとか(今回のルートではほぼないが)転倒滑落とかのリスクは基本的に日没後行動と変わらなくて、この2つは"計画的に"やってるかそうじゃないかの違いしかないので。

 - いくら暗いからとはいえ、道を見失いすぎ。特に登り(行き)では、コースを外れて斜面を登っちゃいがちで、下り(帰り)では逆にコースを外れて斜面を下りがち

 - スマホ (& インターネット)をあまりに当たり前と思っているのであまり考えていなかったが、山では余裕で繋がらないことがあるのでちゃんとそのときのことを考えておくべき

 

感想

行きの日の出前行動といい帰りの林道歩きといい、やっぱり暗い所は本能的に怖いです。

それから行きに黒戸尾根合流箇所の少し手前で1箇所、確実に登山道なところまで戻って何度周りを見てもどこが道だか分からないところがあって、「すぐそこに尾根あるから適当に登っちゃえ」っていいながら登ってたらなんかすぐ登山道に合流したのが謎で仕方ないので、明るいときにもう一回行きたいです。